人気ブログランキング | 話題のタグを見る

もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

19 影…3

 ・・・ 離れがたい ・・・

こんなにも、体中でそう感じたことがあっただろうか。
ほんの少しの時間でも、自分の視界から消えてしまうことを、怖いほどに
不安に感じたことがあっただろうか。

こうして今、触れなくてもぬくもりを感じられるだけの距離にいる。
それが当たり前のことのように思えたら、どんなに幸せだろう。

望まないと・・・望んではいけないと…分かっているのに。
人間は欲張りだ。
一度握り締めたものを、自ら手放す勇気を持てない。

自分だけは、そうならないと思っていたのに。

厚い胸、広い背中、細い指先、風になびく綺麗な髪。
そして、2人だけの時間にあなたの唇から漏れる吐息。
あなたが触れた何もかも・・・すべてを自分のものにしたい。
そんな風に一瞬でも考えてしまう自分が怖くなる。

誰か、お願い。
  どうか私を止めて…
    彼への愛しか見えなくなっていく私を。。。



「ジニョン、滑れるじゃないか」
「えぇ、何とか・・・」
ふらつきながらとは言え、室長に辛うじて笑顔を向ける余裕も出てきた。


ランチの後、彼にスキーが出来ないと…
打ち明けることが出来た。
一瞬、俯いて言葉を失いかけた彼だったけれど、顔を上げたときには笑顔になっていた。

「そうじゃないかと…実は何となくそう思っていたよ」
「え?」
「問いただすことでもないし、君が自分から言ってくれるのを待ってたんだ」
「室長・・・」
「一緒に滑ろうって言った時の君の顔。本当は焦ってただろ?」
「・・・・・・・」
「それと同時に、何かあるんじゃないかと…何か、言い出しにくいこととか…」
「…室長…私。」
「言いたくなかったら、言わなくていいよ。今の君の表情は、朝とは違うから…」
彼の言葉をかき消すように、私は話し始めた。

「私…私が最後にスキーに来たのは、9歳の時でした。父と母と一緒で・・・・・・・・」

室長は、私が嗚咽を堪えながら、ポツリポツリと心の中の思いを吐き出すように話す言葉を、ただ静かに頷きながら聞いていてくれた。
テーブルの上に置いた私の手に、その大きく温かい手をそっと重ねて、勇気をくれた。

私の心の中の、両親への思い。
大切な家族を奪った事故の恐怖。
スキーを拒絶する気持ち。
いろんなものが、彼に話しているうちに浄化されて…
サラサラと綺麗な輝きだけを残して、流れ出ていった。

私が落ち着くのを待って軽くランチをとり、再びゲレンデに戻った。
「初心者用のコースで練習してみようか?」
「はい…」
室長の前で無様な姿をさらすのかと思うと、憂鬱でため息ばかりついてしまう。
「まずは、滑ってみて。転んでもいいから」
「…はい」

大きく深呼吸して、昔お父さんに教えてもらったことを思い出しながら、ゆっくり滑り出した。
(いい感じ!)
そう思ったのもつかの間…
きゃぁぁぁぁ~~~!
いつもの悲鳴を上げながら、やっぱりハデに転んでしまった。
恥ずかしくて立てない、顔を上げられない。
「大丈夫?」
「…はい」
私に手を差しのべながら彼は言った。
「悪くないよ。ジニョン、もう少し左足のエッジを立てるようにしてごらん。きっと安定するから」
「左足?」
「そう、どうしても利き足じゃない方は、エッジを立てづらいんだよ。特に初心者はね!」
彼は、悪戯っぽくウインクして見せる。
(もしかして、励ましてくれてる?)
私は、もう一度滑ってみた。
確かに、昔父からも同じことを言われたことがあったような気がする。
父と彼、2人のアドバイスを思い出しながら、ゆっくり確実に・・・

「本当だ!ちゃんと滑れる!」
「徐々に距離を延ばして行こう」
「はい!!」

一度滑る感覚を取り戻すと、何だかかなり不恰好だけれど初心者なりに滑れるようになってきた。
初心者用のコースから、中級者用のコースへ移動しても、ほとんど転ぶことなく滑ることが出来た。
「楽しい」
そう、ふいに出た言葉に自分で驚いていた。
あの時と同じ。
滑る楽しさ、大切な人と一緒に滑る喜び、どちらも忘れかけていたけれど、あの時と同じ気持ちが
心をいっぱいに満たし、幸せが溢れ出てくるようだった。

「ジニョン、楽しいかい?」
「はい!」

日が落ちる前にスキー場に別れを告げて、私たちは帰路に着いた。
「楽しかった~でも室長は?午後からは、私に付きっきりで滑れてないんじゃないですか?」
「その分、午前中に思い切り滑ったからね。午後からは、面白いものをいっぱい見たし…」
「面白いもの?」
「まっすぐに滑れないジニョンに、転がるジニョン。あと悲鳴をあげるジニョンに・・・」
「もう!室長!!」

叩くフリをした私の手をつかんで、引き寄せる。
彼のコロンの香りが、フワッと私を包み込んだ。
「疲れただろう?」
「いいえ…楽しくて、楽しくて」
   (私、ずっと忘れません…)

 室長の手は、私の肩を優しく撫でていた。

     私が眠りにつくまでずっと。。。
by chiroparo | 2006-10-27 16:30 | 美しき日々19

* My Link...

----------------------------- 
+ メールは、ココから...

+ 奴×3 韓国公式
+ Daum cafe

+ BH Entertainment
+ LBH JOFC
+ BH&RUBEURS
+ New Rubeurs


+ I know.You the one

+ Bitter sweet Life

+ 1358815246.mp3.wma

+ main[1].mp3


-----------------------------
+ Counter:

+ Now on-line:

-----------------------------



カテゴリ

全体
美しき日々1
美しき日々2
美しき日々3
美しき日々4
美しき日々5
美しき日々6
美しき日々7
美しき日々8
美しき日々9
美しき日々10
美しき日々11
美しき日々12
美しき日々13
美しき日々14
美しき日々15
美しき日々16
美しき日々17
美しき日々18
美しき日々19
美しき日々20
美しき日々21
美しき日々22
美しき日々23
美しき日々24
美しき日々25
美しき日々26
美しき日々27
美しき日々28
美しき日々29
美しき日々30
美しき日々31
美しき日々32
美しき日々33
美しき日々34
美しき日々35
美日々Another story
美日々
美しき日々36
美しき日々37
美しき日々38
美しき日々39
美しき日々40
美しき日々41
美しき日々42
美しき日々43
美しき日々44
美しき日々45
美しき日々46
美しき日々47
美しき日々48
美しき日々49
美しき日々50
美しき日々51
美しき日々52
美しき日々53
美しき日々54
美しき日々55
美しき日々56
美しき日々57
美しき日々58
美しき日々59
美しき日々60
美しき日々61
美しき日々62
美しき日々63
美しき日々64
美しき日々65
美しき日々66
美しき日々67
美しき日々68
美しき日々69
美しき日々70
Tubuyaki...
プチ創作「Rain」
プチ創作「Tell a lie」
プチ創作「Various ways」
Love in darkness
I meet you in ・・・
Current...
Event キリプレ
FilmTour2008
kioku
Event
生存報告(笑)

ファン

ブログジャンル

画像一覧