もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
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隠し切れない思い…3
ジニョンの消息は、全く知れなかった。
彼女の部屋を訪れても、一緒に過ごした痕跡は薄れていくばかりで、どこにも彼女の姿はない…
僕には、なす術もなく、前に進む勇気も持てない…毎日だった。
コンコンッ…
「はい…」
「失礼します…」
「キチャンさん、何か?さっきの資料なら…」
「いいえ、お知らせしたいことが…室長から、先日ご依頼のあった件ですが…」
キチャンは、資料を広げながら近づいてくる。
「はい、何でしょうか…」
「見つかりました。ハン弁護士という人物が、実は数名いることが…」
ぼんやりと聞いていたキチャンさんの話に、周りの景色が無くしていた色彩を取り戻して行った。
僕が依頼していたのは、ハンという弁護士を探してくれというものだったが…
キチャンは、居場所だけでなくそれぞれのハン弁護士の人となりまで調べ上げていた。
「…最後ですが、この人物は外見と異なり、かなりのやり手のようです。手広く、様々な弁護を担当しクライアントの信頼を得ているようです。事務所の場所は、ここに…」
ファイルを手渡しながら指差してみせる。
「ありがとう…助かったよ」
僕は逸る気持ちを抑えて、つとめて冷静に答えた。
「では、失礼します…」
キチャンが部屋を出てからも、しばらく動くことが出来なかった。
ハン弁護士に連絡をとって、何も分からなければ…本当にジニョンを永遠に失ってしまう気がする。
しかし、このままではいられず…ファイルを開いた。
こうして名前を見て確信した。そうハン・サンミョンだった…
キチャンの言うとおり、世間を騒がせた事件を数え切れないぐらい弁護しているようだ。
しばらく目を通していたが、携帯電話を開いてファイルに書かれている電話番号をダイヤルした。
「はい、ハン弁護士事務所でございます」
「私は、イ・ミンチョルと申します。ハン弁護士にお会いしたいのですが…」
「ただ今、ハンは重要な案件を担当しておりまして…申し訳ございませんが…」
「ユ・ジニョンのことだと!そう伝えていただけませんか?」
「…少々お待ち下さいませ」
「はい…」
「お待たせいたしました。明日の午後からなら、少し時間が取れるそうですが…いかが致しましょうか?」
「それで結構です」
「14時でよろしいでしょうか?では、お待ち申し上げております…」
ジニョンの名前を出した途端、会えることになったハン弁護士に何かを見い出せそうで心が少しだけ軽くなった。
翌日、約束の時間きっかりにハン弁護士の事務所を訪れた。
通された部屋で、何となく落ち着かない気持ちで窓の外を見ている時、ノックの音と共にドアが開いた。
確かにジニョンが言っていた通り、一見…温厚そうな初老の男性がにこやかに微笑みながら部屋に入ってきた。
「申し訳ありません…お待たせしてしまいましたね」
そう言いながら、仕草で座るように勧められた。
「いえ…こちらこそ、突然だったにもかかわらず…時間を取っていただけて感謝しています」
「ご挨拶が遅れましたね、ハン・サンミョンと申します」
「イ・ミンチョルです」
その時、ノックの音と共に彼の秘書らしき女性がコーヒーを運んできた。
「コーヒーで、よろしいかな?」
「はい…いただきます」
何から話せばいいのか…思いつかず、ただ時間だけが過ぎていく。
ハン弁護士も、何も言わずコーヒーに手を伸ばした。
先に言葉を発したのは、僕だった。
まず…一口、コーヒーを飲んで前置きも何もなく、本題を切り出した。
「早速ですが…教えていただきたいことがあって、こちらにお邪魔しました」
「一体、どんなことでしょうか?私でお役に立てることでしょうか?」
「はい、そう思ってこちらにお邪魔しました。お聞きしたいのは、ユ・ジニョンという女性のことです」
名前を告げて、ハン弁護士の反応をうかがったが、思っていたような変化はなかった。
「ユ・ジニョンさん?その方のことで何か私が知っていると?」
「…彼女は、僕の勤める会社で働いています。しかし、普段なら考えられないことですが、無断で休み…連絡も取れません」
「・・・・・・」
「僕は以前、彼女からあなたのことを聞かされました。あなたなら、彼女の消息を何かご存知じゃないかと…」
「・・・もしも、ジニョンさんという方を存知上げていたとしても、お話しすることは出来ません。私の仕事には、守秘義務があるということを…あなたもご存知でしょう?例えご家族が見えたとしても同じです。弁護士として、それに反することは出来ませんから」
考えていた通りの返事だった。
「・・・・・・彼女が、心配なんです」
「あなたは、会社の上司として心配していらっしゃるのですか?」
ハン弁護士の声色が変わったような気がする。彼は、心の奥をも見通すような鋭い視線で、僕の瞳を見つめながら言った。
いたたまれず視線を外しうつむく。
「・・・・・・そうです」
辛うじてそう答えた。
(そうなのか?ジニョンは、僕とって?)
「そのうち、何か連絡があるかもしれませんよ。でも、探すなんて回りくどい事なんかせずに…そんな無責任な人は、解雇されればよろしいのでは?」
声の調子が変わったのに気づき、顔を上げると…柔らかい眼差しで、こちらを見ている。
「そのつもりですが…その前に、どうしてこんなことになったのか…それを知りたいと思いました」
「知って、どうなさるおつもりですか?」
「・・・・・・」
ハン弁護士からの問いかけに、何も答えることが出来なかった。
腕時計を見ながら、ハン弁護士が立ち上がる。
「申し訳ない…そろそろクライアントが見える時間です、これ以上お話しすることはないようならこれで…」
「…お時間を取らせてしまいました」
「こちらこそ、お役に立てなくて残念です」
ハン弁護士と僕は、立ち上がって握手を交わした。
(これでいいのか?ジニョンは、どこに行ってしまったんだ…彼女に続く道が今度こそ閉ざされようとしていることに、言い知れない痛みを感じていた)
俯いたままの僕の視界から、ハン弁護士が消えようとした時
「…待ってください。ジニョンとは会社の上司と部下というだけじゃありません」
それは僕の意思とは別の、心の叫びだった。
ハン弁護士がドアの前で立ち止まり、振り返る。
「…他にも何か?」
何も考えず、心のままに言葉を続けていた。
「ジニョンは、僕とって大切な女性(ひと)なんです。このまま訳も分からず失いたくない…どうか、彼女のことで何かご存知なら教えてください」
「大切な人?恋人か何かですか?」
「分かりません…でも、かけがえのない大切な女性(ひと)なんです」
ミンチョルの真剣な瞳を見つめていたハンの表情が、柔らかくなり目元に笑みが浮かんだ。
「本当に君達2人は、よく似ている…」
「・・・・・・えっ?」
「少し、待っていて下さいますかな?」
「はい…」
ハン弁護士は、一度部屋を出たが、すぐ戻ってきた。
「これを、ジニョンさんからお預かりしていました。どうぞ…」
渡されたのは、1通の手紙だった。
「これは?」
「ジニョンさんが、渡して欲しいと…そう言って預けて行かれました」
「彼女は、今どこに?」
「・・・ジニョンさんは、パリに行きました。いつ戻るか…戻って来るかどうかは、今は分かりません…」
「パリ?何故、パリに行ったんですか?戻って来ないっとはどう言うことでしょうか?」
「きっと、その手紙に彼女の気持ちが書かれているでしょう。だが、私からも少し話があります。お時間は、よろしいかな?」
「大丈夫です」
ハン弁護士は、ジニョン身に起こっていたことを淡々と話し始めた。
パリで見つかった伯父と伯母のこと。
そしてその伯母が、余命幾ばくもない状態であること。
彼女の胸の中の葛藤も・・・
「ジニョンさんは、最初ここに来た時…泣いていました」
窓の外に目をやり、遠くを見るような眼差しで、ハン弁護士は言葉を続けた。
彼女の部屋を訪れても、一緒に過ごした痕跡は薄れていくばかりで、どこにも彼女の姿はない…
僕には、なす術もなく、前に進む勇気も持てない…毎日だった。
コンコンッ…
「はい…」
「失礼します…」
「キチャンさん、何か?さっきの資料なら…」
「いいえ、お知らせしたいことが…室長から、先日ご依頼のあった件ですが…」
キチャンは、資料を広げながら近づいてくる。
「はい、何でしょうか…」
「見つかりました。ハン弁護士という人物が、実は数名いることが…」
ぼんやりと聞いていたキチャンさんの話に、周りの景色が無くしていた色彩を取り戻して行った。
僕が依頼していたのは、ハンという弁護士を探してくれというものだったが…
キチャンは、居場所だけでなくそれぞれのハン弁護士の人となりまで調べ上げていた。
「…最後ですが、この人物は外見と異なり、かなりのやり手のようです。手広く、様々な弁護を担当しクライアントの信頼を得ているようです。事務所の場所は、ここに…」
ファイルを手渡しながら指差してみせる。
「ありがとう…助かったよ」
僕は逸る気持ちを抑えて、つとめて冷静に答えた。
「では、失礼します…」
キチャンが部屋を出てからも、しばらく動くことが出来なかった。
ハン弁護士に連絡をとって、何も分からなければ…本当にジニョンを永遠に失ってしまう気がする。
しかし、このままではいられず…ファイルを開いた。
こうして名前を見て確信した。そうハン・サンミョンだった…
キチャンの言うとおり、世間を騒がせた事件を数え切れないぐらい弁護しているようだ。
しばらく目を通していたが、携帯電話を開いてファイルに書かれている電話番号をダイヤルした。
「はい、ハン弁護士事務所でございます」
「私は、イ・ミンチョルと申します。ハン弁護士にお会いしたいのですが…」
「ただ今、ハンは重要な案件を担当しておりまして…申し訳ございませんが…」
「ユ・ジニョンのことだと!そう伝えていただけませんか?」
「…少々お待ち下さいませ」
「はい…」
「お待たせいたしました。明日の午後からなら、少し時間が取れるそうですが…いかが致しましょうか?」
「それで結構です」
「14時でよろしいでしょうか?では、お待ち申し上げております…」
ジニョンの名前を出した途端、会えることになったハン弁護士に何かを見い出せそうで心が少しだけ軽くなった。
翌日、約束の時間きっかりにハン弁護士の事務所を訪れた。
通された部屋で、何となく落ち着かない気持ちで窓の外を見ている時、ノックの音と共にドアが開いた。
確かにジニョンが言っていた通り、一見…温厚そうな初老の男性がにこやかに微笑みながら部屋に入ってきた。
「申し訳ありません…お待たせしてしまいましたね」
そう言いながら、仕草で座るように勧められた。
「いえ…こちらこそ、突然だったにもかかわらず…時間を取っていただけて感謝しています」
「ご挨拶が遅れましたね、ハン・サンミョンと申します」
「イ・ミンチョルです」
その時、ノックの音と共に彼の秘書らしき女性がコーヒーを運んできた。
「コーヒーで、よろしいかな?」
「はい…いただきます」
何から話せばいいのか…思いつかず、ただ時間だけが過ぎていく。
ハン弁護士も、何も言わずコーヒーに手を伸ばした。
先に言葉を発したのは、僕だった。
まず…一口、コーヒーを飲んで前置きも何もなく、本題を切り出した。
「早速ですが…教えていただきたいことがあって、こちらにお邪魔しました」
「一体、どんなことでしょうか?私でお役に立てることでしょうか?」
「はい、そう思ってこちらにお邪魔しました。お聞きしたいのは、ユ・ジニョンという女性のことです」
名前を告げて、ハン弁護士の反応をうかがったが、思っていたような変化はなかった。
「ユ・ジニョンさん?その方のことで何か私が知っていると?」
「…彼女は、僕の勤める会社で働いています。しかし、普段なら考えられないことですが、無断で休み…連絡も取れません」
「・・・・・・」
「僕は以前、彼女からあなたのことを聞かされました。あなたなら、彼女の消息を何かご存知じゃないかと…」
「・・・もしも、ジニョンさんという方を存知上げていたとしても、お話しすることは出来ません。私の仕事には、守秘義務があるということを…あなたもご存知でしょう?例えご家族が見えたとしても同じです。弁護士として、それに反することは出来ませんから」
考えていた通りの返事だった。
「・・・・・・彼女が、心配なんです」
「あなたは、会社の上司として心配していらっしゃるのですか?」
ハン弁護士の声色が変わったような気がする。彼は、心の奥をも見通すような鋭い視線で、僕の瞳を見つめながら言った。
いたたまれず視線を外しうつむく。
「・・・・・・そうです」
辛うじてそう答えた。
(そうなのか?ジニョンは、僕とって?)
「そのうち、何か連絡があるかもしれませんよ。でも、探すなんて回りくどい事なんかせずに…そんな無責任な人は、解雇されればよろしいのでは?」
声の調子が変わったのに気づき、顔を上げると…柔らかい眼差しで、こちらを見ている。
「そのつもりですが…その前に、どうしてこんなことになったのか…それを知りたいと思いました」
「知って、どうなさるおつもりですか?」
「・・・・・・」
ハン弁護士からの問いかけに、何も答えることが出来なかった。
腕時計を見ながら、ハン弁護士が立ち上がる。
「申し訳ない…そろそろクライアントが見える時間です、これ以上お話しすることはないようならこれで…」
「…お時間を取らせてしまいました」
「こちらこそ、お役に立てなくて残念です」
ハン弁護士と僕は、立ち上がって握手を交わした。
(これでいいのか?ジニョンは、どこに行ってしまったんだ…彼女に続く道が今度こそ閉ざされようとしていることに、言い知れない痛みを感じていた)
俯いたままの僕の視界から、ハン弁護士が消えようとした時
「…待ってください。ジニョンとは会社の上司と部下というだけじゃありません」
それは僕の意思とは別の、心の叫びだった。
ハン弁護士がドアの前で立ち止まり、振り返る。
「…他にも何か?」
何も考えず、心のままに言葉を続けていた。
「ジニョンは、僕とって大切な女性(ひと)なんです。このまま訳も分からず失いたくない…どうか、彼女のことで何かご存知なら教えてください」
「大切な人?恋人か何かですか?」
「分かりません…でも、かけがえのない大切な女性(ひと)なんです」
ミンチョルの真剣な瞳を見つめていたハンの表情が、柔らかくなり目元に笑みが浮かんだ。
「本当に君達2人は、よく似ている…」
「・・・・・・えっ?」
「少し、待っていて下さいますかな?」
「はい…」
ハン弁護士は、一度部屋を出たが、すぐ戻ってきた。
「これを、ジニョンさんからお預かりしていました。どうぞ…」
渡されたのは、1通の手紙だった。
「これは?」
「ジニョンさんが、渡して欲しいと…そう言って預けて行かれました」
「彼女は、今どこに?」
「・・・ジニョンさんは、パリに行きました。いつ戻るか…戻って来るかどうかは、今は分かりません…」
「パリ?何故、パリに行ったんですか?戻って来ないっとはどう言うことでしょうか?」
「きっと、その手紙に彼女の気持ちが書かれているでしょう。だが、私からも少し話があります。お時間は、よろしいかな?」
「大丈夫です」
ハン弁護士は、ジニョン身に起こっていたことを淡々と話し始めた。
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そしてその伯母が、余命幾ばくもない状態であること。
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by chiroparo
| 2006-12-23 01:02
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