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もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
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Various ways ... 12 ~epilogue~



Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_14393366.gif2007年10月に、別室で書いたものです。
『甘い人生』を基に
思いつくまま・・・
chiroparoが綴った創作です。
本編に絡めながらも
別の物語と
受け取っていただける方だけ・・・
読んで下さい。

再UPにあたり、一部加筆修正しました。






「ソヌさん、戻られたんですか?」

「あぁ・・・ミンギ、すまなかった。留守中に何か、変わった事はなかったか?」

「はい・・・今、ちょっと・・・」

「どうした?」

「いえ・・・いつもの奴らが来ています・・・」

「・・・分かった、行こう」

「あの・・・」

「・・・何だ?」

「大丈夫ですか?体の方は・・・」

「あぁ・・・問題ない」

言葉を切ると視線をミンギに送って、ドアを開けるように指示した。

「失礼します・・・」



Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_13121496.gif




「やっぱり、ソヌさんが居てくれないと・・・」

ミンギは、ソヌの身のこなしを思い出しながら感心したように呟いた。

厳密に言うと、ソヌがLa Dolce Vitaに居なかったのは4日。

ユニを探して飛び込んだ川で、濁流に流され河口に流れ着いた。

運ばれた病院で、丸1日意識を失っていたと聞いたときには、絶望で言葉も出なかった。

彼女の行方は、まだ分からない。

・・・死んだのか?

海へ流されたのか?

それとも、誰かに助けられているのか・・・

普段は穏やかな川が、数日前に降った雨で、水かさを増し流れも速くなっていた。

ソヌが無事だった事も、彼を助けた地元の人たちからは、奇跡的だと言われたらしい。


病院のベッドで意識を取り戻したソヌは、真っ白な天井を見上げ

しばらくは、何もつかんでいない自分の手を、悲しげに見つめていた。


微かに残る記憶・・・

水の中で、一瞬ユニを見た気がした。


実際には、濁って渦を巻く水の中で、見えるはずが無いと思うのに。

ソヌには、見えていたと思う。

伸ばしても届かない手・・・

叫ぼうとした口から、大量の水が流れ込んできた。

苦しさに目を閉じ、むせかえる間にも

どんどん二人の間は引き離されていく。

あれが、現実だったのか・・・夢をみていたのか・・・ソヌには分からなかった。


目覚めたソヌは、退院の許可も取らずに、泊まっていたホテルへ向かう。

彼女を追って、何もかもそのままに飛び出していたから・・・

フロントでベルを押して、事情を話すと荷物が目の前に置かれた。

前払いで、ある程度の額を払っていたことで心象を悪くしなかったらしい。

荷物の中には、拳銃もあった。

通報しようと思えば出来たはずなのに・・・

愛想笑いを浮かべたフロント係に、釣りはいらないとだけ告げてホテルを立ち去る。


車に荷物を放り込むと、足元に白い封筒が舞い落ちた。


Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_0274420.jpg


Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_13121496.gif



「始末したらしいな?」

「・・・・・・」

ソン・テギュが、ソヌを目の端に捉えた。

あの時、怖いと感じたその視線が、不思議と今は何でもないと思える。

「これを・・・」

「?!」

「ユニのものです・・・」

「あっ?あぁ、知っているよ」

「どうして・・・ユニが、こんな事をしたのか?ご存知ですか?」

「ユニは、喋らなかったようだな?」

「はい・・・」

「惜しい女だった・・・この指輪は、俺がユニに買ってやったものだ」

「?!」


ミンギの言葉が、ソヌの頭の中でリフレインする。

「ユニのことで、お知らせしたいことが・・・昔の仲間から聞いたんです。ユニが、総支配人の・・・テギュさんのマンションから、泣きながら出てきたって・・・その後も、何度も2人で車に乗っているのを見かけたらしいんです」

「!!・・・それは、確かなのか?」

「あの界隈にいるホームレス同然の奴なんですが、昔の仲間です。俺を助けてくれたのが、ソヌさんとユニだって知ってから・・・ユニのことを慕っていたんです・・・何度か、食べ物や着る物を貰ったって言ってました。アイツは、決して嘘だけはつかない・・」

「それで調べてみたんです。ヒョクの兄貴が、ヤクを横流ししていたと・・・それがテギュさんにバレて・・・」

ミンギの目に涙が滲んでいたことに、ソヌは気づかないフリをして部屋を出た。


Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_13121496.gif



「ヒョクさんに、そんなことがあったんですか?全く知りませんでした・・・」

ソヌは、初めて聞いた話だという顔で驚いて見せた。

「ヒョクは、ちょっとしたヘマをやったんだ・・・その償いに、女を差し出した。以前から俺がユニに目をつけていたことに、ヒョクは気づいていたんだ」

「!」

「最初は、激しく抵抗したが・・・あの女は利口だな。あんな男を・・・ヒョクを庇おうと思ったんだろう・・・」

「・・・そうでしたか」

「お前は?ユニを抱いたのか?」

「!」

「まぁ・・・どっちでも良い・・・これは、お前が処分しておいてくれ・・・」

「はい・・・」

ソヌは、ユニの指輪を受け取って部屋を出た。



ドアから離れるごとに、握り締めた拳から血が滲んでいく。

そっと開いた手の中で、紅く染まる指輪・・・

その紅い血は、ユニの心が流した涙のように見えた。

寂しげな彼女の瞳が、閉じた目の中に浮かぶ・・・

ソヌの胸は、再びえぐられる様に痛み始めていた。

「ユニ・・・」


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「総支配人が・・・テギュさんが・・・」

慌てて飛び込んできたミンギに、視線を向けることなくソヌは窓の外を見ていた。

「ソヌさん・・・?」

( 知っていたんですか?もしかして・・・ )

ミンギは、言葉を続けることが出来なかった。

1年後、数日前から行方が分からなくなっていた、総支配人ソン・テギュの死体が漢江に上がった。

部下達は、躍起になってテギュを殺った者を探したが、結局見つからないまま悪戯に月日が過ぎていく。

元々、テギュには敵が多かったこと・・・

そして、部下達にそれほど慕われていなかったことが犯人探しにブレーキをかけたようだった。

「香港マフィアらしい・・・」

「いや・・・韓国一の殺し屋の仕業だって・・・」

様々な噂が、まことしやかに囁かれたが、それもすぐに消えていく。

いつしか、ソン・テギュという名を誰も口にしなくなっていった。


( もしかして・・・兄貴が? )

テギュの死を知ったミンギは、そう考えなかったわけではなかった。

しかし・・・無理に、その思いを打ち消そうとしていたのに・・・

今、目の前に立つソヌは、テギュの死に驚いたような素振りも見せず・・・平然としている。

( やっぱり、そうなのか?・・・ )

その背中に、深い悲しみが浮かんでいる気がして・・・

ミンギは何も言えず、La Dolce Vitaを出た。

涙が止まらない・・・

ソヌさんが・・・兄貴と慕う人が・・・手の届かない遠くへ行ってしまった気がして・・・

なぜだか、無性に泣けて胸か痛んだ。



数日後、カン社長の命で、キム・ソヌは、総支配人になった。

ソヌは、この1年というもの、カン社長の期待に応える働きを積み重ねていた。

どんなことでもやった・・・

人として赦されないと分かっていることさえ、ソヌは厭わずに淡々とこなす。

顔色ひとつ変えず、標的の眉間に拳銃を向ける姿に、誰もが恐れを抱くようになっていた。

切れ者と・・・ソヌの名前は、あっという間に裏の世界に浸透していった。


すべてが、社長からの揺るぎない信頼となり、ソヌの地位を確立されていく。

「総支配人・・・カン社長がお呼びです・・・」

ミンギがドアを開け、ソヌを呼ぶ。

窓辺に佇んでいたソヌは、静かに振り返った。


「分かった・・・すぐに行く」


Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_13302394.jpg



「停めてくれ・・・」

「はい・・・」

「ミンギ・・・1時間でいい、これで時間を潰してきてくれ・・・」

「ソヌさん・・・いや、総支配人?・・・分かりました。何かあったら電話を・・・」


道路を渡りきったミンギは、車を振り返る。

「兄貴・・・」

どこか寂しげな顔で呟くと、手渡された金を握り締めて、ミンギは足早に駆けて行く。



ソヌは、車の窓から、夕日を見ていた。

何もかもをオレンジ色に染めて、夕日が沈む。

その中でユニが微笑んでいるような気がして、思わず車のドアに手をかけた。

「バカな・・・」

ソヌは、一瞬だけ自分をあざ笑うような笑みを浮かべたが、すぐに表情を固くした。


「ユニ・・・ひとりで、寂しくないか?」


ずっと忘れようとしていたのに・・・

忘れようとしても、ひとりきりになると思い出す。

冷え切った部屋・・・

冷たいベッド・・・

それらに触れるときは、ソヌが孤独感に押しつぶされそうになる瞬間だった。


なぜか、今日は無性に思い出す・・・

あの日に似た、夕日のせいか?

それとも・・・

その思いを打ち消すように、ため息をつくと、いつまでも夕日を見つめていた。


ソヌの顔に、自然と笑顔が浮かぶ・・・

ぎこちない・・・

でも、限りなく優しい笑みが・・・・・・



Various ways ... 12 ~epilogue~_f0013877_052330.gif





*-*-* アトガキ *-*-*

『Various ways ... 』再UP12話
最後までお付き合いありがとうございました。

読み直してくださった方・・・
初めて読んでくださった方・・・
いかがでしたか?

ハッピーエンド大好き私が
初めてそうでないラストにしてしまった創作です・・・
書いている時も、読み返した時も
こうして再UPするにあたって
書き直している時も・・・
やっぱり、悲しかったです。

「甘い人生」の中で
彼が見せてくれた、いろんな表情が浮かんで
胸が痛くてたまりませんでした。

実は、最近・・・
以前のように、熱い思いを持続できなくて
書き始めて数話で手が止まる。
そんなことを繰り返しています。
もう、何作も書き上げられないまま
下書きとして、ここに残しているんです。

また・・・
以前のような熱い思いで
書きたいことを
すべて書き切れる日が来るのか?
今は、まだ分かりません・・・

しばらくは、短編でリハビリかな^^?

今まで通り
ゆっくりですが、進んで行けたらと思っています。
創作を待っていてくださる方には
物足りない「ヒトリゴト」が
もう少し、続きます。

お付き合いしていただけますか?


2008.6.21 chiroparo



by chiroparo | 2008-06-21 01:48 | プチ創作「Various ways」

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