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もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
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Jewel

今日は朝から晴れ渡り、清々しい空気の中を伯母のいるホスピスに向かって歩いていた。

私は、ホスピスにほど近い、ペンションのような造りの小さなホテルに滞在している。
伯父は、一緒に住むようにすすめてくれたけれど、自分で伯母の所に通える環境にいたかった。
「伯母さま、おはようございます」
「ジニョン、来てくれたの?」
「今日はお天気もいいし、午後からはお庭を散歩しましょうね」
「えぇ、楽しみだわ」

「あら?今日も、お嬢さんが来てるのね?」
「えぇ、マリー」
マリーは、伯母を担当してくれている看護士だった。
「幸せねぇ~ミギョンさん。こんなママ思いの娘さんいないわよ」
「本当に、私は幸せ者だわ…」
ミギョンは、心からそう思っていた。







ジニョンは、まだフランス語がほとんど分からなかったが、伯母の表情で何となく内容を理解していた。
ここに来て、そろそろ2ヶ月になる。
パリに来た頃の伯母は、やせ細り…生きる気力を失いかけていて、今にも命の炎が消えてしまいそうに思えた。
しかし、ジニョンの献身的な看病と、ジニョンの傍に少しでも長くいたいと思うミギョンの頑張りで幾分体調もよくなっていた。
やっぱり病気は、心の持ちようが大切なんだとジニョンは思っていた。
生きたい…
そう強く願うこと、それが今のミギョンの体に奇跡を起こしているのだろう。
一時は食事もほとんど受け付けなくなっていたのに、ジニョンが根気強く食べさせ、一緒に食事を取るようにしたら、少しずつだが、食べられるようになった。
ミギョンの回復ぶりは、医師も驚くほどだ。
しかし、ジニョンは知っている。
どんなに症状が改善していても、一時的なものだということを…
伯母は、また私を失えば同じ道を辿るだろう…
いいえ、以前よりも悪くなるのは早いかもしれない。
それほど、ミギョンにとってジニョンはなくてはならない存在になっていた。

昼食の準備にとりかかった頃、伯父がひょっこりとドアから顔をのぞかせた。
「あら、あなた来て下さったの?」
「ミギョン、ひどいなぁ。ぜんぜん嬉しく思ってくれていないだろう?」
「いいえ、そんなことありませんよ。ねぇ、ジニョン」
ジニョンを見て明るく笑う妻を、伯父のソンミンが包み込むような笑顔で見つめている。
「君は、ジニョンがいてくれたら僕なんか来なくていいと思っているんだろう?」
「ジニョン、この人ったら…あなたにやきもち焼いてるわよ」
伯母は、クスクスと楽しそうに笑いながらジニョンの手を握っている。
「君の好きなケーキを買ってきたよ。食べられるかい?」
「まぁ、あなたったら…私を口実に…これはジニョンの好きなケーキでしょ?」
「そうだったかな…」
「結局、私たち2人ともジニョンのことばかりね?」
顔を見合わせて明るく笑う伯父と伯母を、微笑ましく思いながらジニョンも笑った。

「風が気持ちよかったわ。ジニョン、ソンミンが買ってきたケーキでお茶にしましょうか?」
「えぇ…じゃあ、お茶淹れますね」
2人は摘んできた庭の花を見ながら、お茶にすることにした。
「ジニョン、どうしたの?このケーキ、好きでしょ?」
「えぇ…でも、昨日から食欲がなくて…」
「まぁ、風邪かしら?すぐに診てもらうといいわ。ジョンに頼んであげるから…」
「そんな大げさよ。少し休めば、直るはずだから…」
「ダメダメ…そんなこと言ってたら私がソンミンに叱られます。すぐ診てもらって、ね?」
「そうね…風邪なら、伯母様にうつしちゃいけないし…診てもらうことにするわ」
ミギョンがあまりに熱心に勧めるので、ジニョンも折れることにした。

そこへマリーが通りかかった。
「ちょうど良かったわ。マリー、今日はジョン医師はいらっしゃるかしら?」
「えぇ、さっき戻ってきたからいるはずよ。どこか気になるのところでも?」
「いいえ…ジニョンの食欲がないらしいの。心配だから、診ていただけないかしら?」
「お願いしておくわ。また後で知らせるわね?」
「お願いね…」
マリーは、私にも微笑んでくれた。

その日の夕方、ジョン医師が時間を取ってくれるというので、私は伯母に急かされながら診察室を訪れた。
ジョン医師は、父がフランス人で母が韓国人。
韓国語ももちろん堪能で、いつも伯母の体調のことで相談に乗ってもらっていた。
「お待ちしていましたよ、ジニョンさん」
「お忙しいのに、すみません。でも、伯母は心配しすぎなんです…」
私は、恐縮しながら言った。
「いいえ…ミギョンさんにとってあなたは、最高の薬なんですよ。どんな高価な薬よりも効く、医者泣かせのね。そんなあなたに倒れられたら、僕も困ります」
そう言って、ジョン医師はウインクして見せる。
年齢は30歳後半らしいが、優秀で信頼できる人だった。
「食欲がない以外で、気になるところはありませんか?」
「少し前から、体もだるい気がするし…でも、気にするほどじゃないと思うんです」
「それを判断するのは、私ですよ。お薬だけじゃなく、医者の仕事も私から取ってしまうんですか?ジニョン先生?」
真面目ぶって言うが、目元が笑っている。
「すみません…ジョン先生?」
私たちは、お互いの言葉に噴出してしまった。

「では、念のため検査をしましょうか」
「検査…ですか?」
「ちゃんとやらないと、私がミギョンさんに叱られてしまいます」
「そうですね、ちゃんと診ていただかないと私も叱られそう。じゃあ、お願いします」
「マリーに頼んでおきますね。私は、これから出かけます。検査の結果は、明日の朝お知らせしますから」
「はい…」
私は、血液検査など3つの検査を受けて、伯母の部屋に戻った。
「ジョン医師は、何て?」
「検査したの。でも、結果は明日の朝になるそうよ」
「もう!明日までなんて…心配だわ」
「伯母様ったら、せっかちなんだから」
私は笑って、伯母の手を握った。
「大丈夫なの?」
「えぇ、何も心配はいらないのよ」
伯母は、少しだけ安心したように微笑んだ。

「今日は、早く帰って休みなさいね。私も、起きてたら心配しちゃうから早く寝るようにしますからね」
伯母の気遣いが嬉しかった。
「じゃあ、あと少ししたら帰るね…」

実の母娘(おやこ)のような、2人はお互いを思い、微笑み合っていた。
これから、訪れることを何も知らずに・・・・・・
by chiroparo | 2007-01-01 00:00 | 美しき日々38

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