人気ブログランキング | 話題のタグを見る

もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

Jewel...2

今朝は、朝から熱っぽい気がした。
(体温計なんて…買っていないし、ちょっと疲れてるのかな…)
そんなことを思いながら、身支度をして伯母の所に急ぐ。
心まで憂鬱にするような、あいにくの天気だった。

きっと伯母は、私の体調のことを心配しているだろうから、
先に昨日の検査の結果を聞きに行くことにした。
「先生、おはようございます…」
「ジニョンさん、おはようございます。昨日の検査の結果ですね?もう出ていますよ。さぁ、どうぞ…」
椅子に座ろうとした時、急なめまいに襲われた。
 ガタンッ 







「ジニョンさん!?大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
ジョン医師の顔も、何もかもがグルグルと回りだし…
微かに聞こえる声も天井も、どんどん遠のいて私の視界は暗闇で覆われていった。


「気づきましたか?」
「・・・・・・・」
「ジニョンさん?」
「…先生…私は?何が起こったんですか?ここは…」
「ジニョンさん、あなたは倒れたんですよ。気分は、どうですか?」
「倒れた?はい…今は、大丈夫です」そう言いながら、体を起こした。
少しずつ記憶がよみがえってきた。
「もう、大丈夫なようですね?良かった…」
ジョン医師は、安堵の表情を浮かべている。
「あの…伯母には知らせたんですか?」
「いいえ大丈夫、知らせていませんよ。きっと必要以上に心配されるでしょうから…」
私は、ジョン医師の気遣いに心から感謝した。
「知らせずにいて下さって、ありがとうございます」
「もう気分がよくなられたようですが、昨日の検査の結果は、また後にしましょうか?」
「いいえ大丈夫ですから、あの…どこか悪かったのでしょうか?」
「・・・・・・」
「先生?私、倒れたことなんて初めてで…もしかして、どこか…」
「いいえ…少し貧血気味ですが、それを除けば異常は見られませんよ」
「良かった…」
私は、ホッとして息を吐いた。

もう一度、ジョン医師は机の上に置いた検査結果に目を落とした。

「・・・病気では、ないんですが…」
「他に何かあるんですか!?」
今、安心したばかりだと言うのに、私は不安で胸が潰れそうになった。
私まで体調を崩すわけにはいかない…絶対に・・・
私を大切に思って、辛い思いをしてまで、少しでも長く生きようとしてくれている伯母のためにも。

「あの…先生?どこが悪いんですか?焦らさないで、早く教えてください!」
ジョン医師は、検査結果にもう一度目を通してから静かに言った。

「ジニョンさん、あなたは妊娠しています」
「・・・あの・・・何て仰ったんですか?」
「あなたは、妊娠しています」
「・・・・・妊娠?私が?!」
「3ヶ月に入ったところでしょう。気づいていなかったのですね?」
「・・・・そんな…私は…どうして今頃こんなことに…」
最後の方は、言葉にはなっていなかった。

「大丈夫ですか?真っ青だ…ジニョンさん、すぐに横になって下さい!!」
ジョン医師は慌てて、私をもう一度診察台に寝かせようとした。

「ジニョンさん?」
私は言葉を捜したけれど、どんな言葉も今の心の中の疑問や不安を表現出来そうになかった。
「落ち着いたら、後で詳しく診てみましょう…もう少し、ここで安静にしていて下さい」
「でも、もう行かなくちゃ…伯母が心配します」
「しかし、顔色が悪い…今行っても、ミギョンさんに心配を掛けるのは同じことです」
確かに、私はあまりの驚きに指先も声も震えている。
このまま伯母の所に行っても、どう伯母と接したらいいのか分からなかった。
「そうですね…じゃあ、少しだけ休んでからにします」
ジョン医師は笑顔になって、「医者の言うことは聞くものなんですよ」そう言って、微笑みながら部屋を出て行った。


横になったまま窓から外を見ると、家を出たときと同じ、グレーの雲に覆われた空が見える。
「妊娠?・・・」
何気なく唇から出た言葉を、怖くなって両手で唇を塞いでいた。
…どうすればいいの?
…何もかも・・・胸から溢れ出そうなほどの思いまでソウルに置いてきたというのに。


まだペチャンコのお腹にそっと触れてみた。
…ここに、本当にいるの?
…生きているの?
考えてみれば、確かに生理は止まっていた。
気づいてはいたけれど、パリに来て環境の変化や精神的なものからくる不順だとばかり思っていた。
以前、祖父母が亡くなった時にも何ヶ月か生理がない期間があったから。
そのうちまた、始まるものだとばかり思っていた…なのに。

…彼の子供・・・・・・が、ここにいる?
何だか信じられない思いの方が強かった。


窓を叩く雨の音も、もう耳には入っていなかった。窓の外の景色がどんどんぼやけていく…
それが雨のせいなのか、涙のせいなのだろうか…
そんな考えがちらっと頭に浮かぶ。

「室長・・・・・・」

ソウルを離れて初めて、愛しい男性(ひと)の名前を呼んだ。
「どうすればいいの…・・・室長に逢いたいよ・・・」
愛する人の子供が、私のお腹の中にいる。
本当なら、心が弾んで最高に幸せなことのはずなのに…
私の心は、どんどん重くなっていく。
彼の知らない所で、彼の知らない間に?産むなんて…そんなこと・・・・・・

ジニョンは、もう何も考えられなくなっていた。
「室長・・・・・・」
「・・・室長…」
そしてただ、愛しい男性(ひと)の名前を呼ぶことしか出来なかった…
閉じ込めていた彼への思いが、胸から溢れ出す。

固く目を閉じても、後から後から溢れてくる涙さえも、優しく微笑みかけてくる彼の姿を消してはくれず…
その時のジニョンには、涙を止める術さえもなかった。
by chiroparo | 2007-01-05 15:59 | 美しき日々39

* My Link...

----------------------------- 
+ メールは、ココから...

+ 奴×3 韓国公式
+ Daum cafe

+ BH Entertainment
+ LBH JOFC
+ BH&RUBEURS
+ New Rubeurs


+ I know.You the one

+ Bitter sweet Life

+ 1358815246.mp3.wma

+ main[1].mp3


-----------------------------
+ Counter:

+ Now on-line:

-----------------------------



カテゴリ

全体
美しき日々1
美しき日々2
美しき日々3
美しき日々4
美しき日々5
美しき日々6
美しき日々7
美しき日々8
美しき日々9
美しき日々10
美しき日々11
美しき日々12
美しき日々13
美しき日々14
美しき日々15
美しき日々16
美しき日々17
美しき日々18
美しき日々19
美しき日々20
美しき日々21
美しき日々22
美しき日々23
美しき日々24
美しき日々25
美しき日々26
美しき日々27
美しき日々28
美しき日々29
美しき日々30
美しき日々31
美しき日々32
美しき日々33
美しき日々34
美しき日々35
美日々Another story
美日々
美しき日々36
美しき日々37
美しき日々38
美しき日々39
美しき日々40
美しき日々41
美しき日々42
美しき日々43
美しき日々44
美しき日々45
美しき日々46
美しき日々47
美しき日々48
美しき日々49
美しき日々50
美しき日々51
美しき日々52
美しき日々53
美しき日々54
美しき日々55
美しき日々56
美しき日々57
美しき日々58
美しき日々59
美しき日々60
美しき日々61
美しき日々62
美しき日々63
美しき日々64
美しき日々65
美しき日々66
美しき日々67
美しき日々68
美しき日々69
美しき日々70
Tubuyaki...
プチ創作「Rain」
プチ創作「Tell a lie」
プチ創作「Various ways」
Love in darkness
I meet you in ・・・
Current...
Event キリプレ
FilmTour2008
kioku
Event
生存報告(笑)

ファン

ブログジャンル

画像一覧