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もう一人、彼を愛していた女性がいたとしたら・・・韓国ドラマ「美しき日々」にハマった、私の創作文です。かなりムリのある展開・設定になっています。ドラマの美しき日々しかダメな方は読まないで下さいね。
by chiroparo
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彼の地へ…3

建物の外に出て、思いっきり胸いっぱいに空気を吸い込む。

懐かしい…ほんのちょっと、離れていただけのつもりだったのに空も空気も人々も…
すべてが懐かしかった。
そして、あちらこちらで聞こえてくる人々の会話も、心地良く耳に入ってくる。

私は、戻ってきた。
自分の国…
自分のいるべき場所である、ソウルに…

私が安定期に入る頃を見計らって、伯父と伯母と3人で韓国に戻ってきたのだった。
伯母の体調の方が心配だったが、ジョン医師がパリを出てからずっと、私たちに付き添ってくれていた。
「ミギョンさん、ジニョンさん、気分はいかがですか?」
私は、少し疲れた表情の伯母の言葉を待った。
「えぇ、気分は悪くないです」
私は、少しだけホッとしながら「私も、大丈夫です…」そう呟いた。





しかし、伯母の回復は思わしくなかった。
疲れから来るのか、食欲が戻らず点滴に頼る日々が続いている。

ジョン医師の紹介で入院した病院での、慣れない環境のせいかもしれない。
とにかく私や、お腹の赤ちゃんに話しかける時以外、ベッドに横になって過ごすことがほとんどだった。

私は、伯母をソウルに連れてきたことを後悔し始めていた。
私のためにムリをして、こんなにやつれてしまった伯母を見るたびに、自分の我がままを悔いる気持ちでいっぱいになっている。

「ジニョン、もう会いに行ったの?」
「・・・・・・」
「どうして行かないの?その為にソウルに帰ってきたんでしょう?」
「…そうだけど、今は、まだいいの」
「だめよ、すぐに行ってきて。お腹の赤ちゃんのことを知ったら、きっと喜ぶわ…」
「もう少しだけ落ち着いてから、ね?」
伯母は、私の言葉にかすかに頷いた。

「じゃあ、来週になったら必ずね?」
「えぇ…分かったわ」
「やっと、パパに会えますよ。良かったわね…」そう言って伯母は、私のお腹に触れる。

(喜んで…くれるはずなんてないよね。どうやって、どんな顔で彼に会えばいいんだろう。何も告げずにパリに発った私なのに…)
そう考えるだけで、私の胸は不安でたまらなくなった。
でも、もうこれ以上は先延ばしにできない。
伯母にムリをさせてまで、帰ってきたソウルなのだから…

電話をすることも考えたけれど、週明け直接ビクトリーへ行ってみることにした。
少しだけでも彼の姿が見たい…
ただそれだけの気持ちだった。
元気でいるだろうか…
相変わらず仕事中は厳しい表情なのだろうか…
そんなことを考えていると、ふいにビクトリーでの彼との思い出で胸がいっぱいになった。
ふと思い出した彼の表情に、思わず笑みが浮かんでくる。

初めて会った時は、そう…第一印象は最悪だった。
失礼な人だと…思っていたんだった。
人の顔を見て、初対面なのに笑うなんて…って腹立たしく思っていた。
なのに、いつから私は…こんなに室長に惹かれたんだろう。

次に会ったのは…そう、主任に意地悪をされて残業をしている時だった。
うたた寝していた私に、コーヒーを淹れてくれたんだった…
そして彼が・・・・・・
その時の彼とのことを思い出しながら、私は体が熱くなるのを感じていた。

それから様々な事があった…
祖父母の死…
一人ぼっちになってしまった私の傍にいてくれたのは、いつも室長だった。
私をあたためてくれた分だけ…いいえ、それ以上に…
私は、少しでも彼の孤独を癒してあげたかった…

彼との日々を懐かしく思いながらも、私は自分自身が彼の事を忘れられていないこと…
諦めてなどいないことを思い知らされた。
涙が止まらない。
室長に会いたい・・・・・・
ただただ、彼に会いたかった。
私は、その気持ちでいても立ってもいられなくなった。
「室長…」
呟く声は儚く消えていく。
窓ガラスの外は、見慣れた街並み。
私は帰ってきたんだ…室長のいるこのソウルに・・・

「ジニョンさん?」
「・・・・・・」
「…ジニョンさん?」
振り返ると、驚きの表情でジョン医師が佇んでいた。
「…先生」
「ジニョンさん、どうして…」
そう言って、私の頬の涙を両手で拭ってくれる。

慌てて手のひらで頬の涙を隠した。
「…きっと、今は妊娠中で情緒不安定なんです…」
ジョン医師は、何も言わずに深くため息をついた。
「・・・ジニョンさんは、本当に嘘が下手ですね?」
「・・・・・・?」
「涙が本物か、ただ情緒不安定で出たものか…見抜けないほど、僕は鈍感な男じゃないつもりです」
「・・・・・・先生?」
「僕には、あなたが…いつも寂しそうに見えています」
「…そんな…こ…と・・・・・・」
再び、ジニョンの頬に涙が伝う。
「ほら、また・・・」
ジョン医師が長い指で、涙を抑えた。
「・・・・・・」

一度そらした視線を再びジョン医師に戻した時、彼が言った。
「ジニョンさん、僕では…僕ではだめですか?あなたの傍にいて、あなたの涙を止める担当医に…してくれませんか?」
「・・・・・・?!」
「ジニョンさんと、お腹の赤ちゃん…2人の傍にいたいんです」
「・・・先生?!私…」
ジョン医師は、私の言葉を遮るように言葉を続けた。
「返事は、今すぐでなくて構いません。ゆっくり考えて下さい・・・」
「…私なんて、先生に相応しくない・・・だ…」
その後は、ジョン医師の大きな手で遮られて言葉を続けることが出来なかった。
「ゆっくり考えてください。僕は、いつまでも待てますから…」そう言いながら、一瞬だけいつもの包み込むような微笑を見せ、背中を向ける。

「先生・・・・・・」
ジニョンは、ジョン医師からの言葉に驚き…しばらく、その場から動くことが出来なかった。
by chiroparo | 2007-01-19 17:07 | 美しき日々43

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